「ブレイキング・バッド」製作者ヴィンス・ギリガン、900人以上が集団自殺したカルト教団の実話をドラマ化

これは期待しかない…!ヴィンス・ギリガンが、70年代に実際に起こったカルト教団による大規模な集団自殺事件をテーマにしたドラマを制作することが報じられました。

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(左)「ブレイキング・バッド」製作者 ヴィンス・ギリガン By Gage Skidmore from Peoria, AZ, United States of America (Vince Gilligan) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons。(右)カルト教団「人民寺院」教祖ジム・ジョーンズ。By Nancy Wong [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

ゲーム・オブ・スローンズ」の大ヒットで知られるアメリカのケーブルTV局HBOが、「ブレイキング・バッド」の製作総指揮者ヴィンス・ギリガンと、同じく「ブレイキング・バッド」で監督を務めたミッシェル・マクラーレンとタッグを組んで新ドラマを制作することが先日報じられました。

ドラマのタイトルは「Raven」(まだ仮題かもしれません)。

1978年にアメリカのカルト教団「人民寺院(People’s Temple)」の信者900名以上が集団自殺を遂げた悲劇の大事件を、ノン・フィクション書籍「人民寺院―ジム・ジョーンズとガイアナの大虐殺(Raven: The Untold Story of Jim Jones and His People)」を基にドラマ化するようです。ちなみにこのノン・フィクションを書いたティム・レイターマン氏は実際の事件から生還したジャーナリストの一人だそうです。

ギリガンは脚本・プロデュース、マクラーレンがプロデュースおよび監督を務める模様。ミッシェル・マクラーレンは「ブレイキング・バッド」シーズン4の「復讐の杯」やシーズン5の「完璧な静寂」など、印象に残るエピソードを多々監督しています。また、原作本の(たぶん映像化の)権利を持っている女優オクタヴィア・スペンサーもプロデュースに参加するようです。

実際に起こった「ジョーンズタウン」の集団自殺事件

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原作「Raven: The Untold Story of Jim Jones and His People」の表紙

実際の事件は1978年11月、教祖ジム・ジョーンズ率いるカルト教団「人民寺院」が南米ガイアナに作ったコミュニティ「ジョーンズタウン」で起こりました。当初は高い理想を掲げていた「ジョーンズタウン」でしたが、閉ざされたコミュニティの内部で徐々に暴行や強姦が横行、遂には銃を使った軍事訓練などが行われるまでになったようです。脱走した信者や信者の家族からそのことが明るみに出ると、本国でも大きな社会問題となりました。

事態を重く見たアメリカは、「ジョーンズタウン」に連邦議会の議員やジャーナリストなどからなる視察団を送ります。数日の滞在で議員たちは教団の異様な実態に気づき、帰国を希望する十数名の信者を伴い帰途につこうとしたところを信者たちに殺害されてしまいます(同行していて亡くなったジャーナリストによる動画も残されています)。さらに同日夕方には教祖ジョーンズの指示により、信者全員がシアン化物(青酸カリ)を飲んで自殺、「ジョーンズタウン」で暮らしていた信者の9割にあたる914名が死亡しました。中には背後から撃たれている遺体などもあり、300人程度は他殺であるとする説もあるようです。

集団自殺直前のジョーンズによる「演説」テープも残されています(音声 全文 ※胸クソ注意)。音楽をバックにジョーンズが「裏切り者のせいで、こうせざるを得なくなった」「革命的な自殺だ」などと語り、一部抗議する信者もいるものの、多くの信者は演説の合間に拍手と賞賛を送っています。

911までは犠牲者数ではアメリカ史上最悪の悲劇だった大事件だけに、ドキュメンタリー含め今まで何度も映像化されているようです。イーライ・ロス監督の映画「サクラメント 死の楽園」もこの事件をモチーフにしています(個人的にはビックリするほどぬるかったですが…)。また、現在別のケーブルTV局A&Eでもカルト教団の実態を描くドキュメンタリーシリーズ(タイトル未定)を企画中で、このシリーズのシーズン1もジョーンズがテーマになるそうです。

エロ・グロOKなTV局HBOでのドラマ化ということもあり、「ブレイキング・バッド」以上にダークな作品になりそうですが、過去作品とは違うギリガン流の「ジョーンズタウン」をどんなふうに見せてくれるのか、とても楽しみです。