名優アンソニー・ホプキンスが「ブレイキング・バッド」に感激して送ったファンレター(全文)

アカデミー賞俳優アンソニー・ホプキンスは「ブレイキング・バッド」でのブライアン・クランストンの演技に感激して彼にファンレターを送ったそうなんですが、その内容とは?

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名優アンソニー・ホプキンス氏。Anthony Hopkins – By Elena Torre from Viareggio, Italia [CC BY-SA 2.0 ], via Wikimedia Commons

もうとにかく絶賛してます…!

「ブレイキング・バッド」最終話が放映されてまだ間もない2013年10月、ハンクの相棒ゴメスを演じたスティーブン・マイケル・ケサダ氏が自身のFacebookに一通のメールを公開しました。

メールの送り主は「羊たちの沈黙」でアカデミー賞主演男優賞を受賞した名優、アンソニー・ホプキンス。「ブレイキング・バッド」にハマり、全シーズンをたったの2週間で一気に観終えたというホプキンス氏は、主演のブライアン・クランストンウォルター)の演技に痛く感激して、なんと彼宛にファンレターを送ったようです。

この手紙がネット上に公開されるやいなや数時間で大変な話題に。あまりの騒ぎに驚いたケサダ氏は、Facebookからメールを削除してしまったようです(現在も削除されたまま)。すると今度は「削除したってことは偽物だったんじゃない?」と疑う人が続出したため、BazzfeedGawker他多くのメディアがアンソニー・ホプキンス側に確認をとったところ、間違いなく本人が送ったメールだと認めたそうです。

また、ホプキンス氏ご本人も、米AOL Onのトーク番組「アーセニオ・ホール・ショー」に出演した際にこのことを認めています。また、手紙では名前が出ていなかったジャンカルロ・エスポジートガス・フリング)にも賞賛を送ったようです(動画)。

さて、そのメールの内容ですが、毎度のテキトー意訳で恐縮ですが、訳してみましたのでどうぞ。
(英文はこちら → Gawker

親愛なるMr. クランストン。

あなたにこのメールを書きたかったので、ジェレミー・バーバー氏(※)を通じて連絡を取っている。私たちはどちらも代理人がUTA(ユナイテッド・タレント・エージェンシー)だからね。いい代理店だ。
(※訳注:UTAの委員の一人)

私は今ちょうど「ブレイキング・バッド」の一気見を終えたところだ。シーズン1エピソード1からシーズン6(※)の最後の8話まで、2週間の(病みつきになる)観劇だった(最終シーズンはAmazonでダウンロードしたんだ)。
(※訳注:シーズン5が前後編に分かれているので、シーズン5後半のことをシーズン6と書いている模様)

今だかつてこんなものは観たことがない。素晴らしい!

あなたのウォルター・ホワイトの演技は、私が今まで観たものの中で最高だった。

この業界が人をけむに巻く話やうんざりするようなでたらめに溢れているのは知ってるし、私自身本当に何も信じられないような気持ちになっていた。

しかし、あなたのこの仕事は素晴らしい。全く見事だ。並外れているのは、制作陣のパワーだ。どんなふうだっただろう?制作にかかったのは5年か、6年か?プロデューサー(あなたもその一人だが)、脚本家、ディレクター、シネマトグラファー、キャスティングまで含め、全ての仕事が最初から最後まで統制され、コントロールされているのは実に素晴らしい。

最初はブラック・コメディとして始まったものが、だんだんと血の迷宮、破滅、地獄へと入り込んでいく。まるで中世の戯曲のようだ。シェイクスピアか、ギリシャ悲劇のようだ。

もし機会があれば、私からみなさんへの賞賛を伝えてくれまいか。アンナ・ガン、ディーン・ノリス、アーロン・ポール、ベッツィ・ブラント、RJ・ミッテ、ボブ・オデンカーク、ジョナサン・バンクス、スティーブン・マイケル・ケサダ…みなさんに。みなさん本当に素晴らしい演技を見せてくれた。このリストに終わりはない。

ありがとう。このような仕事、このような芸術は珍しい。そして、ごくたまにこういった仕事を目にすると、(この業界への)信頼を回復させてくれる。

あなたと、他の全てのキャストは私が観た中で最高の俳優たちだ。

これはとんでもないお世辞に聞こえるかもしれない。だが、そうじゃない。ここマリブではそろそろ真夜中だ。でも私はこのメールを書かずにはいられなかったのだ。

おめでとう。私の心からの尊敬を。あなたは真に偉大な、偉大な俳優だ。

それでは。
トニー・ホプキンス

素人訳でアレですが、とにかくものすごい褒めっぷりです。この手紙が話題になった当時「アンソニー・ホプキンスにここまで言わせるとは、もうエミー賞は必要ないんじゃないか(既に決まったようなもの)」とまで言われたのもうなずけます。実際にこの次の年に「ブレイキング・バッド」はエミー賞6部門を受賞し、「総なめ」「圧倒的」と賞賛されました。

「羊たちの沈黙」のレクター博士はなんとも言えない底知れなさと不気味さ、気品を兼ね備えた複雑なキャラクターでしたが、そのレクター博士を演じきったアンソニー・ホプキンスにここまで言われるとは、ブライアン・クランストンもさぞかし感激したでしょうね。

※ちなみにブライアン・クランストンがこの手紙に返信するなどなんらかのリアクションをしたかどうかは、探しても出てきませんでした。この件を検索するとわりと上位に出てくる「The Studio Exec」のというサイトの「ブライアン・クランストンからアンソニー・ホプキンスへの返信」という記事は偽物なのでご注意。

アンソニー・ホプキンス「公にしてほしくなかった」

2016年にHuffington Postが報じたところによると、ホプキンス氏はこの手紙について「ネット上でバズることは望んでなかった」と言っています。「ブライアンが手紙のことを他の俳優に、誰か知らないけど、話して見せたんだろうね。で、その誰か、愚かな奴がネットに上げたんだろう。そんなことをしてくれとは頼んでないけど、起きてしまったことだ」。ホプキンス氏は、それ以降ファンレターを書くのは辞めた、とも言っているようです。

ゴメス…(´;ω;`)

Anthony Hopkins Is Not Happy You Saw His ‘Breaking Bad’ Letter