ブレイキング・バッド最終話「フェリーナ」、タイトルの意味は?

最終話のタイトル「フェリーナ(Felina)」はエピソード中に流れる「エル・パソ(El Paso)」という曲の歌詞から来ていますが、他にも隠れた意味があるようです。

el-paso
El Paso – Marty Robbins

カントリーソング「エル・パソ」で歌われている娘の名前が「フェリーナ」

「エル・パソ」はアメリカを代表するカントリー歌手マーティ・ロビンス(Marty Robbins)が1959年にリリースした曲。最終話冒頭、ウォルターがエンジンをかけた車の内でかかっている曲です。また、のちにM60を「準備」しているシーンでもウォルターが口ずさんでいました。

このシーン。この時点で泣きそうになりながら観たなあ…。Breaking Bad Felina – Car Scene – Full HD | Youtube

歌詞は、魔性のメキシコ娘フェリーナに恋をしたカウボーイの目線で語られています。

主人公のカウボーイは、ある日酒場でフェリーナに言い寄っていた男を殺してしまいます。男の仲間に追われる身となり、テキサスのエル・パソからニューメキシコの荒れ地へと逃げ、逃亡生活を送ることに。しかし、月日が流れてもなおフェリーナを忘れられなかった主人公は、戻れば殺されると知りつつも、ある日ついに彼女に会いに行くことを決意します。エル・パソに戻った主人公は男の仲間に撃たれ倒れこみますが、そのときどこからともなくフェリーナが現れ、主人公を抱きかかえ頬にキスをするのです。主人公は恋い焦がれたフェリーナの腕の中で息を引き取ります。

上の動画のシーンで流れているのはこの部分。

I saddled up and away I did go
Riding alone in the dark
Maybe tomorrow a bullet may find me
Tonight nothing’s worse than this pain in my heart
And at last here I am on the hill overlooking…
俺は馬に鞍を乗せ、暗闇の中、ひとり走り出した。明日には弾を食らうだろうが、今夜のこの胸の痛みよりはましだろう。ついに俺は(エルパソを)見下ろす丘にたどり着き…

あかん泣ける…。この曲聴くと無条件に泣ける。

アルバカーキに戻ることを決意したウォルターの心情そのままの曲なんですね。フェリーナはスカイラー…というかウォルターが愛した家族そのものかもしれません。ただ、歌詞ではフェリーナは清純な乙女ではなくよこしまな女(Wicked and evil)として描かれているので、ウォルターにとってのフェリーナは「力」や「金」だったのでは、という考察もあるようです。

歌詞についてはこちらのサイトにすごく詳しい日本語での解説がありました。
El Paso その1 by Marty Robbins : Songs for 4 Seasons

【UPDATE】 歌詞と物語が驚くほど符合しているのがよくわかる動画も

「エル・パソ」の物語を「ブレイキング・バッド」のシーンを使って説明している動画がありました。ファンが作ったものですが、この歌詞がいかに物語にピッタリあっていたのかよくわかります。

Breaking Bad explained with the song “El Paso” by Marty Robbins | Youtube

結末(=フィナーレ)のアナグラムでもある

それだけでなく、「フェリーナ(Felina)」の文字を並べ替えると「フィナーレ(Finale)」になります。これは製作者ヴィンス・ギリガンも認めていて、元々タイトルは上に書いたように「エル・パソ」の娘の名前「Feleena」になるはずだったんですが、他のスタッフにスペルが「Felina」であれば「Finale」のアナグラムになると指摘され、変更したようです。

5 Endings Vince Gilligan Didn’t Use for ‘Breaking Bad’ | nofilmschool

元素記号「Fe」「Li」「Na」を合わせたもの、という説

さらに、「ブレイキング・バッド」には化学が密接に関わっているので、このタイトル「フェリーナ」も元素記号が関係しているのでは?という説もあるようです。

fe-li-na

この説でいくと「Fe」は鉄、「Li」はリチウム、「Na」はソディウム(ナトリウム)。最終回の放送前後、画像とともに「血、メス、涙」の意味だという説が大拡散されたようです。いろんなサイトでトリビアとして掲載されてるので見たことがある人も多いかもしれせん。
画像では「鉄は血の主な物質。リチウムはメスの製造に使われる金属。ソディウムは涙の主要な成分」となっています。

気付いた人SUGEE!と思ったんですが、Breaking Bad Wikiによると、この説は間違いのようです。ただ、間違いとする根拠については書いてなかったので、探してみたんですが見つけられませんでした。それぞれの元素についての説明はあながち間違ってもいないので、製作者が言及してない = 深読み(こじつけ)、という意味で間違いとしてるんじゃないかなーと思います。ちなみにIMDbでは普通にトリビアとして掲載されています。

Felina – Breaking Bad Wiki

「フェリーナ」は62番目のエピソード。
周期表の62番目の元素は、肺ガン治療に使われている

「フェリーナ」について、さらにもう一つ。この最終話はシリーズ通算62番目のエピソードになりますが、周期表の62番目の元素である「サマリウム」は肺ガンの治療に使われるものだそうです。

放射性同位体のSmは46.3時間の半減期でベータ粒子を放出するβ放射体である。それは肺癌、前立腺癌、乳癌および骨肉腫において癌細胞を殺すのに用いられる。

サマリウム | Wikipedia

これも意図されたものではないと思いますが、偶然にしては出来過ぎですね。

こうしていろいろ調べていて驚くのは、これらの考察がほとんど最終回放送前に出尽くしていることです。アメリカでのブレイキング・バッド人気がいかにすごかったかが伺えます。