ウォルターの偽名「ハイゼンベルク」は、実在の物理学者の名前

麻薬王の「ウォルター・ホワイト」が実在するだけでなく、「ハイゼンベルク」も実在の人物。麻薬関係とかでは全然なくて、偉大な物理学者です。

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©AMC

物理学者ハイゼンベルク

トゥコに名前を聞かれ、ウォルターが名乗った名前「ハイゼンベルク」は、実在した物理学者「ヴェルナー・カール・ハイゼンベルク(Werner Karl Heisenberg)」から取ったものとされています(S4E4「厄介な存在」では、ハンクがハイゼンベルクという名前について「不気味だろう。ヒトラーの下で働いてた物理学者と同じ名前らしいな」と言っています)。

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Werner Karl Heisenberg (1901 – 1976) via Wikimedia

Wikipdeiaによるとハイゼンベルクはドイツの理論物理学者で、量子力学に多大な貢献した人物。1932年には31歳の若さでノーベル物理学賞を受賞しています。
ナチス政権下ではユダヤ人擁護の立場を取って「白いユダヤ人」と呼ばれていたとか、第二次大戦中、やむなくナチスの原爆開発チームの一員になった際も意図的に開発を遅らせようと試みたとか、様々な逸話が残っています。

ただ、ウォルターはなぜこの人物の名前を名乗ったのか? もしくは製作者のギリガンがこの名前を選んだ理由は? 特に製作者が言及したことはないようですが、ネット上では様々な考察や憶測が飛び交っています。

なかでも一番支持されているのが、ハイゼンベルクの最大の功績とされる「不確定性理論」によるものだという説。

不確定性理論(または原理)とは、これまたWikipediaによると

粒子のある相補的変数として知られる一対の物理的性質を同時に知ることができる精度の根本的限界を示す様々な数学的不等式のいずれか

…だそうで、ええと、目が滑って読めない…。よくわからないんですが、ざっくり言うとたぶん「粒子の正確な位置と正確な運動量は、同時に知ることができない」ということみたいです。

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ドイツでは切手にもなっているハイゼンベルク via Wikimedia

このことから、ウォルター自身が「歩く不確定性原理」であって、極悪非道の麻薬王ハイゼンベルクとしての運動量を得る(行動をする)と、彼の元いた位置(家族想いで道徳的だったウォルター・ホワイトとしての立ち位置)を見失ってしまうからではないか…という考察が出ていました。
また、観ている側も「ウォルターが何を考えているか、またはウォルターが何をしようとしているか、何故そうしようとしているかはわかるかもしれないけれど、決して同時に両方を知ることはできないから」という意見や、「ジェシーとウォルターの不確実な関係のメタファーでは」という考察もありました。

ただ、これらはあくまで「製作陣がウォルターの別人格に『ハイゼンベルク』とつけた理由(の推測)」であって、ウォルター「本人」がどうしてこの名前を選んだのかは、やっぱりわからないままです。が、おそらく彼自身が尊敬していたであろう人物の名前を選んだことは、想像に難くないですね。

余談ですが、ヴェルナー・ハイゼンベルクも大学で教師をしていたことがあるようです。また、彼の死因はガン(肺ではなく腎臓ガン)で、1976年に亡くなっています。