トッドは囚われのジェシーに自分のシャツを貸していた

S5E16「ニューハンプシャー」トッドたちに囚われていたジェシーが着ているシャツ、実はトッドが貸してあげたもののようです。

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S5E5「荒野の作戦」より

シーズン5終盤、トッドとトッドの叔父で白人至上主義者のジャックに囚われたジェシー。「ニューハンプシャー」のエピソード前半を見るとその前のエピソード「オジマンディアス」で捕まった時と同じ服を着ていますが、後半、トッドがアイスクリームを持ってくるシーンからは別のシャツを着ています。

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エピソード前半のシャツは前回のエピソードと同じ服
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後半は服が変わっている

実はこのシャツ、S5E5「荒野の作戦」でトッドが着ていたシャツと同じものだそうです。

この設定を思いついたのはコスチューム・デザイナーのジェニファー・L・ブライアンJennifer L. Bryan)女史で、製作者であるヴィンス・ギリガンも言われるまで気づかなかったとか。この二人が収録に参加した2016年4月の「ベター・コール・ソウルInsider Podcastで、ギリガンは次のように語っています。

As soon as I heard, the hair stood up on the back of my neck. I said, ‘That is so perfect.’ That’s the kind of shit that we’re proud of ourselves for coming up with the perfect detail in the writers room, and that was such an ironic thing but it makes perfect sense.意訳:「このことを聞いた時にはうなじの毛が逆立つような感じがした。『完璧だ』って言ったよ。完璧なディテールを、しかもこんな皮肉で理にかなってるディテールを思いつく、こういうところが僕らが自分たちを誇りに思うところなんだ。」

ライターズ・ルームでは「ジェシーがトッドたちに囚われている間、彼の服をどうしよう?」という話し合いがあったようです。結局、ずっと同じ服ではボロボロになってしまうだろうということで途中で服を変えることになったんですが、普通ならどこかの量販店から買ってきたテキトーな服でもおかしくないところを、ジェニファー・ブライアンはさらに踏み込んで「トッドならジェシーに自分が普段着ていた服を貸すだろう」と考えたようです。トッドはジェシーを囚われの身にしているにも関わらず、未だジェシーに対して奇妙な尊敬と憧れを感じていたということのようです。

さらにギリガンは「トッドが残酷だと思ったことはない」とも言っています。「彼はかなり変わっている(screw loose)し、かわいそうな無実の子供を撃っても、それほど悪いことだと思わないようなところもある。かと言って僕は彼がサディスティックだとは思わない。彼は単に脳の他人に共感する部分が欠けているんだ」。さらにこのエピソードでディレクションと脚本を担当したピーター・グールドは「トッドはジェシーの友達になりたかったんだよね」とも言っています。そう考えると「ジェシーの好みがわからなかったから」とわざわざ2種類のアイスクリームを運んできた理由もうなずけます。

ジェシーを囚われの身にしていながら「友達になりたい」と考えるトッド。彼の不気味で複雑な一面がよく現れているエピソードですね。「ブレイキング・バッド」の、こういう細かーいディテールにこだわるところがたまらなく好きです。