ウォルターのセリフ「Tread Lightly(下手に探らないことだ)」は2013年の流行語になった

S5E9「汚れた金」ウォルターのセリフ「Tread lightly(下手に探らないことだ)」は、アメリカでは放映された年の流行語トップ10にランクインしています。

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If that’s true, if you don’t know who I am, then maybe your best course… would be to tread lightly.

シーズン5後半の1話目となるエピソード「汚れた金」。アメリカで最初に放映されたのは2013年8月ですが、このエピソード最後にウォルターが言うセリフ「Tread Lightly」は、2013年のアメリカの流行語(TV関連)トップ10で2位にランクインしました。一般的なフレーズも含めたランキング(The Top Phrases of 2013)でも5位。

このランキングはGlobal Language Monitorが「インターネットやブログ、上位275000冊の印刷物、ニュースやソーシャルメディアを解析して導き出したもの」だそうで、本当に話題になった、流行した言葉だけがランキングに反映されています(日本の「流行語大賞」のように特定の人物・団体が選ぶわけではない)。そのランキングで2位になったというのは本当に凄いことだと思います。

日本語に直訳すると「そっと歩け」

ちなみにこの「Tread lightly」という言葉、日本語版では字幕・吹替ともに「下手に探らないことだ」と訳されていましたが、英和辞典を引くと意味は「そっと歩く」となっています。

私と同じく「?」となった人がいたようで、Redditで「英語圏の人間じゃないからこのセリフのニュアンスがわからない」と質問した人がいました。寄せられた回答を見ると「どたどた歩くな、って感じ」「簡単に言うと『気をつけろ』だな」「僕の友だちが寝ているトラの側を歩かなきゃならないとしたら、そう言うかも」とのこと。

要はウォルターはハンクに「今後の行動には充分気をつけろ(さもなくば…)」と言ってるんですね。「暗い夜道には気をつけろよ」的な、時と場合によっては脅迫とも取れる言葉です。

このシーンの撮影中、ふたりとも涙ぐんでいた

でもこのシーンのウォルターの表情は、脅迫というよりむしろ悲しそうで、目には少し涙まで浮かんでいます。当初の予定では文字通り脅迫のニュアンスが強かったようですが、なぜこういう演出に変わったのか、ハンクを演じたディーン・ノリスインタビューで語っていました(以下、かなーり意訳かつ省略もしてますので、詳細は原文をどうぞ)。

この車庫でのシーン、脚本通り演じた1回目の撮影では、かなり暴力的で激しい場面になったんだそうです。すると、ノリスもブライアン・クランストン(ウォルター)も「これでもいいけど、何か違う」という気持ちになったのだとか。

ノリス曰く「やり過ぎな感じがしたんだ。あの時ハンクが感じていた感情は、まるで一番の親友に嫁を寝取られたような酷い気分だ。裏切られた。怒りは確かにそこにあるんだけれど、怒りと同時に同じくらい傷ついてるんだよ」。

インタビューアーに「あのシーンであなたが涙ぐんでるように見えたんですが…」と問われて「もうちょっとで泣きそうな気がしてた。ハンクがそうだったのかも」とも言っています。

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怒りと悲しみと哀れみが混じったハンクの表情、スゴい

脚本では、ウォルターの「私が誰か知らないなら、下手に探らないことだ」と言うセリフも脅迫以外の何者でもなかったようです。
「実際にその通りに演じていてもみんなそのシーンが好きになったと思う。みんなイカすハイゼンベルクが好きだからな。でもその時、確かピーター・グールド(※)がブライアンに『ハンクに、お前一体誰だ?って言われたと考えてみて』って言ったんだ。それで、ブライアンがそれを取り入れた(訳注:このエピソードでブライアン・クランストンは監督もしていたので、現場で変更を加えたということのようです)。ウォルターも同じく悲しいんだと。次のテイクではブライアンのセリフにはずっと心がこもってたよ。脅迫というより弁明に近いような。涙ぐんでもいたと思う。彼は『気をつけてくれよ』って言ってるようだった。本当の意味でね」。

※脚本家。このエピソードの脚本を書いていて、スピンオフ「ベター・コール・ソウル」では製作総指揮の一人。

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