数エピソードしか登場していないにもかかわらず、強烈な印象を残したトゥコ・サラマンカ。実はもっと長く活躍する予定だったのに、演じた役者の希望で退場が早まったようです。
Tight Tight Tight!なトゥコさん、実はたったの4エピソードしか登場していません
トゥコの早めの退場を願ったのは他でもない彼を演じた俳優でした。
トゥコ役のレイモンド・クルスは「ブレイキング・バッド」を放送したTV局AMCのインタビューで「どうやってトゥコが死ぬことを知りましたか?」と聞かれ「俺が彼を殺してくれと頼んだんだ」と答えています。
シーズン2の撮影前に「あと8エピソード出演して欲しい」と依頼された彼は「いや、もう1エピソードだけやったら終わりにしてくれ」と頼んだそうです(結果、シーズン2には2エピソード出演)。普通俳優さんは出番が多ければ多いほど嬉しいものですから、スタッフからは「死にたがる俳優なんて聞いたことがない!」と言われたそうですが、クルスは「わかってないな、この役は本当にキツイんだ」と答えたとか。
トゥコ役を打診された当時、レイモンド・クルスは既にドラマ「クローザー」のレギュラー(フリオ・サンチェス役)でした。
「クローザー」のスピンオフ「Major Crimes 重大犯罪課」でのレイモンド・クルス。全然違う!
平日はほとんど「クローザー」の撮影していたため、「ブレイキング・バッド」と両立させるのはかなり大変だと思い、当初2〜3度断ったそうです。しかし他にこの役をこなせる俳優が見つからなかったため、結果的に引き受けることに。
「最初の1,2エピソードで喉をやられそうになったよ。毎回演じる度に怪我をしてた。鼻を折りそうになったこともある。肉離れにもなったし、仕事を終えたらガラクタみたいになってた」(Hollywood Reporter)
ご本人は温厚な、どちらかというと内向的な性格で料理好きな人だそうで、いつもハイテンションで短気なトゥコを演じるのは肉体的にも精神的にも非常に大変だったようです。しかも平日は「クローザー」の撮影があったため、金曜の夜にアルバカーキに飛んで、登場シーンは全て土日で撮影したとのこと。
よほど大変だったのか、いろんなインタビューで「まるで車輪を回すハムスターみたいに忙しかった」「クレイジーだよ」「肉体的にも、感情的にも精神的にも疲弊した。だから遂に彼が退場すると決まった時、嬉しかったよ!」と語っています。
相当な苦労があったようですが、その甲斐あってトゥコは「ブレイキング・バッド」の個性的な面々の中でも一二を争う忘れられないキャラクターになりました。今でも道でファンに出会うと「『Tight Tight Tight!(※)』って言って!」とお願いされるそうです。「すごく印象に残ったってことだからありがたいね」。
※このページ最初の写真のシーン。ウォルターのブルーメスを試したトゥコが言うセリフで、吹替では「すげえ!ガツンときたぜ!」、字幕では「こいつはすげえ」。